マークが品質を保証する NikonF
ニコンFのカタログの一部です。
この部分を見ますと、まだニコンFフォトミックが発売前ということが分かります、また、標準レンズの5.8cmF1.4と50mmF1.4が併売されている事も分かります、この両者の条件が揃った1962年の春の短い期間に出されたカタログで割合見かけない物です。また、このカタログにはニコンFシステム一覧の画像が載っていましたが、その中の下の赤丸のレンズはカタログ内に何もデータなど載ってはおりませんでした。外観から1961年秋に発売予定とされ、結局発売されなかった「オートニッコールワイドズーム3.5cm~8.5cmF2.8~4」だと思われます。
大きく重く、歪曲などの収差も目立ったのかもしれませんが、このレンズが市場に登場していたなら、ズーマー以上に刺激になり、もっと広角ズームの研究開発が加速していたかもしれないと妄想(汗)を抱いてしまいました。
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コメント
「オートニッコールワイドズーム3.5cm~8.5cmF2.8~4」については、
こちらの過去記事(2007年11月26日掲載の同名のタイトル)に詳しいですね。
当時の予定定価の95,000円も凄いですが、90mm(径)×95mm(長)、重量1,100g、フィルター径82mmは、さすがに弩級レンズですね。
35mm~85mm F2.8~4と言うスペックは、1990年代の標準ズームを思わせるものがありますが、
1961年当時としては驚愕のレンズだったことでしょう。
大きさ、重さ、価格は別にしても、やはり広角側の収差などが、思うように改善できなかったので発売を中止したのかもしれませんね。
試作のみに終わらずに多少は遅れてでも発売されていたら、
国内外のカメラ、レンズメーカーに少なからず刺激を与えて広角/標準ズームレンズの開発歴史は、もう少し違ったものになったことでしょう。
ニコン自身も、その後長らくこの手の広角ズームの展開を進めなかったので、他の光学メーカーも倣ったのかもしれません。
当時は、それ程広角系ズームの開発と商品化は難しかったのではないかと思います。
投稿: MARK12 | 2011年5月 2日 (月) 15時44分
私の持っている機材のニコンSシリーズ用のズームファインダー35~135ミリのファインダーから推測すると、35ミリの広角側の四隅の流れが克服出来なかったのではないかと推測しています。
キヤノンのⅤ型、Ⅵ型用のズームファインダーは四隅までクッキリ見えますが、光学設計にはプリズムが使われています。
プリズム抜きのレンズ設計はいまの技術基準だと収差の塊のようなオートニッコール43~86ミリF3.5も、この時代としては他のメーカーを抜きんでたショートズームで、打倒ヨンサンパーロクで設計チームが組まれ、解散が繰り返された歴史があり、このレンズを凌駕しズームレンズでも単焦点に負けない描写を初めて持ったキヤノンのFD35~70ミリF2.8~F3.5SSC(1973年発売)の設計、試作成功まで待たねばならなかったのですから、色々な意味で早すぎたレンズだったのでしょう。
発売予定が決定できたのは、試作レベルの技術では大丈夫だったのでしょうが、製造現場に納入されてくる部品の許容公差とレンズの許容公差の関係で試作レベルを出そうとすると、この発売予定価格以上なることが製造現場で起きていたことも考えられます。
投稿: ガタピシ | 2011年5月 3日 (火) 08時17分