フォーカシングユニット使用の超望遠レンズ キヤノンFLレンズ
キヤノンF-1登場時のFDレンズカタログに載っていたFL超望遠レンズの説明部分です。
皆さんのコメントに度々出てきておりましたので、参考にしてください。
キヤノンの場合はフォーカシングユニットにも光学系が組み込まれており、前群の光学系を変えるタイプとし、繰り出しもラックアンドピニオンギヤによるものと、日本光学の物とはかなり違いが見られます。
また、この頃既にキヤノンはFLレンズでも人工結晶蛍石(フローライト)を採用したFL-F300mmF5.6とFL-F500mmF5.6を出していました。
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コメント
この頃、受注生産でしたが人工結晶蛍石を使用したFL-L300ミリF2.8もカタログに出ています。
F-1が登場するまでは、これらの人工結晶蛍石を使用して製品化されていた高性能レンズも使用ボディーはアマチュア向けのFTしかなかったのがキヤノンには苦しくツライことだったことが資料として残っています。
人工結晶蛍石の製造技術はいまもキヤノンの世界です。
世界最大の人工結晶蛍石を造りそれから、直径40cmの大光学用レンズ4枚製造して、すばる望遠鏡に組み込んでいますね。
私が旧FDの最終タイプの300ミリF5.6S.S.Cを手に入れた時はサンニッパも受注生産ではなく、300ミリF4Lレンズも出ていましたが、手が出ませんでした。
FL-F300ミリF5.6もプロ用で中古のカメラ屋でも実物を見たこともありませんでした。
フォーカシングユニットのこの種のレンズも中古販売店では見たこともなく(ニコンもキヤノンも)、普通のアマチュアでは手に入れて使うのは夢また夢の世界でした。
旧FDの最終タイプの300ミリF5.6を手に入れた時は、ニコンにシステム変更したとき、ニッコールの300ミリF4.5EDを使えるようになるなんて、思いもしなかったのを思い出します。
Lレンズでない300ミリを手に入れるのも、かなり無理をして手に入れたものだったと言っても、分かってもらえないでしょうね。
投稿: ガタピシ | 2010年5月 2日 (日) 16時53分
70年代前半までは、定価10万円超の交換レンズは高級品でした。ズームレンズも数える程しかありませんでした。400mm以上の交換レンズを在庫に置くカメラ店もそうはない時代。現在の100万円超のレンズが量販店で売れるなんて、この資料を見るといろいろと考えさせられます。
ニコンにしろ、キヤノン、ペンタックス、ミノルタやコンタックスのレンズカタログに掲載されている高級レンズの実物を見る機会はそうありません。東京の歌舞伎町内に当時あった中古カメラ店には、ニコンとキヤノンのフォーカシング・ユニット望遠の在庫がありました。70年代から80年代半ばのことです。
確か、70年代のNHKのドラマで、カメラマンの主人公が事件に巻き込まれて、最後に自分が誘拐される場面をキヤノンF1(NHKなのでメーカー名は隠してありましたが)の1200mm付きで無線操作で撮影して終わる作品がありました。
その後のドラマ「池中げん太」ではFD600mm、800mmが印象にあります。
投稿: しんじ | 2010年5月 3日 (月) 01時50分
蛍石を使用した顕微鏡、天体望遠鏡、フィールドスコープなどは、世界のいろんな光学メーカーから発売されてきましたね。
半導体製造用のステッパーにも用いられています。
大口径の人口結晶の蛍石を量産しているメーカーも複数ありますね。
一般の写真用レンズ(一眼レフカメラ用望遠レンズ)では、積極的に採用しているのはキヤノンくらいでしょうね。
早くも1969年にはFL-Fレンズとして実用化し、販売を始めています。
人口結晶蛍石やレンズのコーティング材等をキヤノンに納めていたのはキヤノン系列のオプトロンというメーカーでしたが、2004年に完全子会社化されてキヤノンオプトロンとなりました。
キヤノン以外の光学、カメラメーカーが蛍石を何故、写真用レンズに積極的には使用しないのかは興味があるところです。
蛍石にも種々の欠点や問題があるからなのか、写真用レンズとしての蛍石は、パイオニアたるキヤノンのイメージが強過ぎるのでしょうかね。
蛍石レンズの欠点としては、コスト高の問題以外に以下のようなものがあります。
・脆いために衝撃に弱く、硬度も高くないので表面に傷が付きやすい(光学的に理想な第1面に使用するには前面に保護ガラスが必須)。
・温度変化、特に急激な温度変化に弱い。温度変化によるレンズの焦点移動が大きい。
・コーティングし難い(近年は改善方向)。
・蛍石は潮解現象による(白い)曇りが発生しやすい。
最後の問題は個体差もあるでしょうが、経年劣化の上では一番の心配事かもしれません。
投稿: MARK12 | 2010年5月 4日 (火) 17時56分