ニコンS用トリガー式迅速巻き上げ装置
下はニコン物語に掲載されていた昭和29年に実用新案で出願されたトリガー式の巻き上げ装置の出願図です。
これは当時使われだしていた報道関係者や海外のカメラマンからの要望を受け開発が進められたようです。
(この当時はほとんどのカメラがノブ式の巻き上げを採用していました。)
この装置は、『本実用新案は白昼撮影中でもカメラに対する取り付け取り外しが漏光の心配がなく簡単に出来る高速連続用撮影のフィルム早捲取装置』と出願明細書に記載され、従来のトリガー式(ライツ社製?)の欠点を改良したものでした。
しかし、これは結果的には製品化されませんでした。この年のフォトキナで発表されたライカM3のレバー巻き上げを受け、開発最終段階だったS2もレバー式を採用し、トリガー式の優位性が薄れた事が理由だったようです。また、同時期に開発が進んでいたモーターワインダーがS2型に採用されたのは先日S2Eの記事を紹介しましたので、皆さんご存じの事と思います。
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コメント
底部トリガー方式の利点のひとつは、ファインダーを覗いたままで巻き上げできることです。脇を締めたままで撮影を続けられるので、手ブレも少なくなるでしょう。欠点として、焦点調節まで左手で行うと、左手が忙しくなり過ぎることなのですが、右手で焦点調節を行えるニコンやコンタックスなら、この欠点はありません。しかし、実際に底部トリガー方式を採用したのは、ライカとキヤノンであり、ニコンやコンタックスでは商品化されませんでした。何とも皮肉と言うか、惜しい話だと思います。
投稿: スポック | 2010年1月31日 (日) 11時49分
トリガーがなければ、カメラを目から離し、ノブとボディーの両方を回して巻き上げ時間を短くするしかなかった。
私はこの巻き上げ方法嫌いではありませんでしたが、報道の方たちにはレバー巻き上げになるまでは、かなり深刻なものだったでしょうね。
いまでは歴史のかなたの話になってしまいましたね。
投稿: ガタピシ | 2010年2月 1日 (月) 10時02分
このトリガー式の巻き上げ装置が商品化されなかったのも肯けます。
モータードライブのS2EやS-36開発の存在というもありますが、このトリガー装置は自由に着脱出来る長所があるもののフィルムの装填や取り外し時は毎回外さないといけませんね(付けたままでは裏蓋の開閉が出来ない筈)。
それならライカやキヤノンのトリガー付底蓋(ベースプレート)の様にトリガー付の裏蓋を別に用意しても実用上は大差ないでしょうね。
ということで商品化は見送ったのかもしれません。
投稿: MARK12 | 2010年2月 1日 (月) 19時36分