« ニコンMとキヤノンオートアップの広告 | トップページ | 3つの顔。3つのニコン。 »

おこりやすいカメラの故障 シャッター編

表題はフォトアート昭和24年6月号(創刊2号)の連載?記事で、この頃のカメラの起こりやすい故障の紹介と予防法などを櫻井 實 氏(桜井 実 氏)がまとめたものです。
下はその記事の一部ですが、その中で、氏はマイナス50~60度での低温実験の機会があり、そこにカメラを持ち込んでのシャッターの実験もしたそうです。画像の文章冒頭部分はその際持ち込んだカメラの機種を言っています。
(カメラはライカ、ローライオートマット、同U型、セイコーラピットシャッターとのことです。)
S

見て分かるかと思いますが。低温で真っ先に使えなくなったのが布幕フォーカルプレーンシャッターのライカと書いています。因みに、この記事の時点では、ニコンカメラはまだM型は市販されておらず、I型でした。

確か、昭和25年に朝鮮戦争が起こると冬の厳冬時の朝鮮ではニコン以外は低温で動かなくなってしまったが、ニコンS型(M型?)は問題なく撮影が出来、ライフ誌の紙面をニコンとニッコールで飾ったといった話を思い浮かべ、もし、テストしたカメラがニコンだったら、フォーカルプレーンシャッターの評価も違っていたかもしれないと思った次第です。

また、最後のほうに日本光学のニコフレックスが85ミリF2.8付き(*)でしかもレンズ交換が可能なような文言が見られ少し興味を引きました。これは皆さんご存知のように、35ミリ判ニコンへと開発は一本化されましたが、この頃は、まだ巷の情報ではそうではなかったのでしょうか。(75年史によると昭和21年10月に一本化を決定)

S_2

(*):設計図では8cmでビューニッコールがF2.8、撮影用ニッコールが4枚玉テッサータイプ?のF3.5に読めます。


|

« ニコンMとキヤノンオートアップの広告 | トップページ | 3つの顔。3つのニコン。 »

Nikon RF Camera」カテゴリの記事

コメント

「ニコン物語」などによると、中判二眼レフのニコフレックス(Nikoflex)は実機の試作までは行われたが、このカメラに使用するレンズシャッターの製造に多額の設備投資を必要としたため、フォーカルプレーンシャッターの35mmカメラの開発に一本化したようなことが書かれていますね。
結果的にはリソースを割くことがなく、35mmカメラに注力できて良かったのかもしれません。

国産の二眼レフでは精工舎やシチズン製の他、色んな名を持つレンズシャターが使われていました。ニコンはレンズシャッターを自製する気だったのですね。
ローライ(フランケ&ハイデッケ社)が主張していた特許に拘束されないことが分かって戦後のある時期は世界的に二眼レフの大ブームが起きましたね。
日本の格調高い光学メーカーとしては海軍御用達だった日本光学は試作まででしたが、陸軍御用達だった東京光学(トプコン)は多くの二眼レフを開発・発売しました。

投稿: MARK12 | 2009年8月26日 (水) 20時35分

厳冬期の朝鮮戦争で写真を撮れたのは、オイルを耐寒用にしたニコンSです。
ニコンは親方帝国海軍の国策会社として設立された会社で、日本海軍は当時、日本の領土だった千島列島の警備、有事の戦闘に作動不良を起こさないための耐寒ノウハウがあり、ニコンSにはその技術がフィードバックされていたことと、耐寒オイルも当時最先端のアメリカ製のシリコン系のものを使ったのかもしれませんね。

朝鮮戦争は第二次大戦が日本の降伏によって終結してから、5年後に起きた戦争で、第二次大戦末期にB29によって行われた日本空襲では、高度1万メートルでの日本の防空戦闘機との戦闘で、日本軍機は高高度の戦闘で、高高度での耐寒オイルを使用していながらオイルが凍結して不発になることがあったのに対して、アメリカ軍のB29の対戦闘機用の防御機関銃はシリコン系のオイルを使用していて、不発することがなかったとの資料を読んだことがあります。

投稿: ガタピシ | 2009年8月27日 (木) 08時46分

<潤滑剤について>
耐寒性が高い高級天然潤滑油としては、昔から深海鮫(サメ)の肝油(スクアレン)があります。
スクアレン(化学式はC30H50)は、高度不飽和炭化水素(脂肪酸)のほぼ無臭で無色の液体油で、マイナス75℃位まで凍らないのですが、化学的に不安定な面もあるので水素を添加して飽和炭化水素のスクアラン(C30H62)として工業的に用いられています。
スクアランの凝固点は、マイナス58℃で、耐寒性潤滑油として一昔前の機械式の高級カメラなどにも使用されていました。
スクアランは、現在では合成が可能ですが、薬用や化粧品用にはあまり適しないので、この用途は今でも天然のものが使われています。

スクアランは軍事用途でも重要な面が有りました。
日本でも第一次世界大戦のシベリア出兵時当たりで銃器用の油としてサメの肝油が凍らないことを認識し始めたようです。
第二次世界大戦では必要に駆られて急遽入手を図った例があります。
帝国陸軍が北満州の戦車の運用で、潤滑油の凍結で戦車が動かなくなり、スクアランの入手が必要になったこと、帝国海軍でも高度12,000mの成層圏(気温は約マイナス55℃)まで飛行が可能な米軍のB-29爆撃機の迎撃を行う雷電等の要撃戦闘機のために高々度でも凍らない潤滑油(スクアラン)が必要になりました。
このため陸軍と海軍は、それぞれが大量のスクアラン製造のために深海サメの大量捕獲を命じます。それに何とか答えて敵の制空権下でも操業を行った深海漁業関係者に少なからず犠牲者を出すことになったのです。

耐寒性に優れたスクアランですが、Nikon FやF2の時代の耐寒処理としては、液体潤滑剤の代わりに固体潤滑剤を使用したという話しをよく聞きました。
潤滑油では、低い気圧や乾燥状態などによるオイル成分の揮発の問題等もあったのかもしれません。
固体潤滑剤を使用した場合は、巻き上げレバー等の作動が少しギクシャクした感じになったようですし、寒冷地以外の常温の状態での長期使用もあまり適していなかったようです。
固体潤滑剤として代表的なものには、二流化モリブデン(MoS2)とグラファイト(黒鉛)があり、最近ではPTFE(フッ素系樹脂で商品名のテフロンで有名)等があります。
又、人工衛星やスペースシャトルなどの宇宙の環境下では、高真空のために蒸発する潤滑剤は全く不適で、且つ蒸発物による周囲の光学系等の表面を汚染したりするのでまず使えません。一部の例外(密封構造や温度コントロール環境下等)を除き固体潤滑剤が基準となっているようです。

現代では、耐寒性にも優れた広い温度範囲に対応するシリコン系やフッ素系の合成潤滑剤(オイル・グリース)があります。フッ素系樹脂コーティング等も使用されています。
現代のカメラ用潤滑剤としては色々な条件がありますが、温度依存性だけでなく、低しゅう動負荷性(低粘性)や耐摩耗性などが要求されます。カメラ用にはフッ素系が向いているようです。
又、レンズ付近やシャッター付近では油の滲み出しが大きな問題となりますので、固体潤滑剤入りの液体をスプレー後に乾燥させる乾燥被膜潤滑などが多用されているようです。

シリコンオイル・グリースは、表面張力が非常に小さく種々の物質表面で広がり、拡散してしまいます(保油性が小さい)。密閉構造などの部位ならよいのですが、そうでないと、どんどん広がって流出してしまいます。付近に電気接点があるような部位では絶縁皮膜してしまいますので要注意です。カメラやレンズには元来適していないでしょうね。
又、シリコンオイルには境界潤滑性の問題もあり、使用材の組合せに適、不適があります。特に鋼と鋼の間では潤滑性が低下します。

投稿: MARK12 | 2009年8月28日 (金) 23時06分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/185882/46016345

この記事へのトラックバック一覧です: おこりやすいカメラの故障 シャッター編:

« ニコンMとキヤノンオートアップの広告 | トップページ | 3つの顔。3つのニコン。 »