植村直己の耐寒仕様F3
画像は植村直己氏の極寒地への冒険の際持ち込んでいたニコンF3です。
Nikon新聞No.227より
このF3チタンは、ファインダーは通常F3TはHPの物になりますが、DE-2と同じアイレベルプリズムを使った物になっているのが外観上の特徴です。
さて、画像の元記事ですが、Nikon新聞の特集記事で植村直己氏と日本光学取締役カメラ事業部長 小野茂夫氏との新春対談にあったものです。
内容で、氏のカメラは低温度でも使えるようのとの要望が発端でリチウム電池を使用するようになったようですが、どのカメラを指しているのかは不明ですが、記事中に小野氏がリチウム電池を標準搭載したカメラはニコンが最初と言っているのが少し気になりました。当時ニコンEMは確かリチウム電池が付属(初期はG13×2個)していたように記憶していますので、このあたりでしょうか?
また、この号の出た翌月の2月半ばに植村氏はマッキンリー峰への単独登頂に成功するのですが、下山途中に連絡が取れなくなり、消息を絶ちました。興味深いのは、この記事にそのマッキンリー辺りで訓練をして、南極の最高峰にも備えるような内容の発言が見られました。その訓練も兼ねた登頂だったのかもしれません。
参考記事:1984年新春対談(2.1MB)
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コメント
この植村スペシャルF3は、レリーズボタンの防滴ゴムカバーは報道用の改造に使用されたものと同じだと思います。
また、巻き戻しクランクがF3Pと同じ部品のようです。
細かなところに植村さんの要望が反映されてるんじゃないかと思います。
F3シリーズ全盛期には、プロ向けのカスタマイズメニューが報道機材課会員向けに用意されていたようですね。
投稿: Sammy | 2009年6月 7日 (日) 12時58分
●こちらの「植村スペシャル」初めて拝見しました。ファインダー部のニコン銘板が黒色となっているのが印象的ですね。モータードライブもゆっくり回してフィルム破損を防ぐ配慮がなされたいたのですね、日本でも寒冷地ではスプロケットが裂けたり、スタティックスが生じて青いお化けみたいな像が発生するなど、フィルムの巻き上げには気を遣いますが、流石は極寒地仕様、納得です。
●有り難い話としては、リチウム電池のお話です。植村さんやNASAなどでの極寒地での経験があって、今のような優秀なカメラ用電池の開発があったのでしょうね。D2Hsに食べさせるリチウムイオン電池に改めて感謝です。
投稿: ふみとパパ | 2009年6月 7日 (日) 21時09分
電池はスペースシャトルに搭載したF3と同じものだったのでしょうか?
宇宙空間は真空でとても寒いようです。
宇宙服が破れると血液が体内で沸騰だかなんだか忘れましたが、血液がおかしくなり、そして人体は真空で破裂するのではなく、凍り付いてしまうと何かに書いてありました。
アポロ13号が事故を起こし、月着陸船を切り離す前だったのでなんとか帰還してきたのを映画化した「アポロ13号」では、残り少ない燃料を節約して帰るために生命維持装置を最低レベルまで落せばなんとか帰れると地上でのシュミレーション実験をしながら帰還してくる過程が描かれていましたが、宇宙飛行士のセリフに「寒い」とあったように思います。
植村さんがマッキンリーで消息を断ったとき、テント内に残されていた植村スペシャルのF3の中にあったフィルムからプリントされた植村さんの日本国内で講演活動をしているとはの居心地の悪そうなシャイな表情と違って、活力にあふれたギラギラとした生肉をエスキモーナイフで切りながら食事をしている写真の方が印象的でした。植村さんの側にあった調理用の当時マルチフューエル(液体燃料だったら何でも使えるタイプのこと)で極寒地での使用に最高の性能を持っていた、MSRの分離型のXGKが写っていたのを見たとき、次の登山も単独登山で望むつもりだったことを感じました。
ちなみにXGKは現在はXGKⅡへと改良されていて携帯性が向上しています。ただ、燃料効率はよくないそうです。
投稿: ガタピシ | 2009年6月 8日 (月) 11時10分
僕はこの植村スペシャルに影響されてF3/Tチタンカラーボディを買いました。
それも最近中古で (笑)
そして、ファインダーはDE-4なんだけれどNikonの銘板は黒の部品に交換してパンダ仕様にして自己満足の世界に浸っております。
植村さんのF3のような特別な仕様の機材は私のようなカメラ好き少年の憧れでした。
投稿: skamjurix | 2011年9月 5日 (月) 21時28分