5.8cmF1.4
ニコンF登場当初の時に、RFのニコンカメラ用には標準レンズには開放値F1.4の高速レンズの他さらに高速のF1.1なんてバケモノレンズもありました。
しかし、ニコンFでは標準5cmは開放値F2で1段明るいF1.4の標準レンズは翌年春まで待たねばなりませんでした。
しかも5cmではなく5.8cmと若干焦点距離も長めでした、以下はその考察です。(大袈裟)
1:一眼レフが世に出る前、通常標準レンズの多くは50mmであった。
2:初期の一眼レフでもこの50mmの焦点距離に標準レンズを合わそうと考えたと思われる。
3:当時の大口径標準レンズは、バックフォーカスの長いものでも焦点距離の60%ほど、ゾナータイプ(50mmf1.5など) に至っては48%程度であって、それを一眼レフではミラーハウジングの関係で35-37mm以上のバックフォーカスが必要であった。それを実現するには単純に計算しても最低でも55~58mmの焦点距離を要してしまう。
4:大口径標準レンズは明るくなるほど収差補正が難しくなりバックフォーカスの確保もそれに伴い難しくなる。
5:結果上記の理由により焦点距離が5cmでは難しく5.8cmになってしまった。(しかし50mm標準レンズの開発は弛みなく進められていた。)
その後、設計の改良によりF1.4では、多分ニッコールが最初のほうだと思うのですが、現在の変形ガウスタイプ(最後玉を2分割してバックフォーカス短縮による収差を補正するなど)が見い出されて50mmの焦点距離が実現したと聞きました。(1962年3月発売)
しかし、開放F値1.2となるとさらに時間がかかり55mmF1.2と若干長めの物で1965年12月、50mmF1.2となると1978年12月になってしまいます。
余談ですが最初のニッコールオート50mmF1.4の初期ロットはセンチ表示が有ったとの事です。
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コメント
以前に私が見た資料によりますと、センチ表示の5cm/F1.4は、プロトタイプの1本だけということになっていました。プロトタイプのシリアルNoは314101で、量産品ミリ表示の50mm/F1.4は314111から始まっているので、もしかしたら、10本くらいあるのかも知れません。
投稿: スポック | 2007年5月16日 (水) 23時33分