ニコンFマウント(Ai&Ai-S)
ニコンFマウントは1977年3月に「ニコンを変えずにニコンを変えた。」のコピーとともに従来との互換性を確保する為マウントそのものは変えず、開放F値の自動補正を実現させるAi(Automatic Maximum Aperture Indexing)方式へと転換しました。
それまではレンズ側からカメラへの情報は絞りリングのF5.6付近についている連動爪による絶対値のみでした。
これは元々は外光式露出計用の連動爪で(出現当時の昭和34年頃はまだTTL測光はありませんでした)、後年でたTTL開放測光ではレンズ開放時よりどれだけ絞り込むと適正露出かを知る必要があるため絶対値のみでの情報では開放F値を別に露出計に教える必要がありました。それが所謂ガチャガチャといわれる開放F値設定の動作やリングを動かしての設定などです。
それがAi方式になってレンズを対応カメラ本体に取り付けるだけでよくなりました。
じつはこの方式は発表よりも何年も前から準備されてましたがライセンスとの絡みなども関係していたのか開始時期がなかなか決まらなかったと聞いています。
さて、従来方式から変わった点ですが絞り環にはAi方式の連動爪?とEEコントロールユニット連動突起が追加され、絞り数字は従来の物とファインダー内表示用の光学直読式の為の数字の2重になりました。
画像の絞り環11時辺りから9時辺りに伸びている突起はAi方式連動爪?なんですがこれは絞りを開放位置にしてカメラに着けますと中心から27.5度の位置に来るようになっています。開放測光をする上で必要な相対値情報をこれより得ています。
特別にF1.2とF1.4のレンズだけは30度と違っています。それは大口径レンズの画面周辺における口径食の光量低下を考慮しての為と聞いています。
画像の絞り環外周2時辺りの位置の突起はEEコントロールユニットDS-12との連動用に用意されたものです。
本来の目的であるEEコントロールユニットとの連動用ピンは最小絞りにした時 同一位置に来るようになってますのでDS-12のサーボモーターのリミットスイッチを働かせるのに都合が良いようになってますが最近のものでボディより絞りをセットするタイプのカメラでは最小絞り値識別などにも使われるようになりました。
また、マウント面から見て画像の6時くらいの位置に突起が追加されました。これは開放絞り値情報を伝えるための物です。
この突起(ピン)と絞り環からのAi連動爪位置より得られる相対値によって絞りの絶対値を出しています。
先日書き込みましたSB-EやSB-19ではこの絞り値情報とフィルム感度情報を利用してTTLストロボに近い使い勝手を実現しています。
*さらにここからはAi-Sマウントの事になります。
Ai-S方式になって6時位置のピンの形状により135mm以上の焦点距離のレンズと以下のレンズの違いも区別できるようになりました。これによって高速プログラムへの自動切り替えが可能になりました。
また、画像のマウント面の10時辺りの位置の欠き込みによってAi-Sの識別を行う事ができます。AiレンズやAi改造レンズにはこれは設けられていません。
他には画像の3時辺りに見える自動絞り連動レバーがカメラ側から絞り込み量を制御できるようカメラ側のピンの移動量に対し正確に対応するようになりました。
瞬間絞り込み測光方式のカメラでプログラムAEや速度優先AEを使用する場合、非Sタイプのレンズの一部にシャッタースピードが設定値または表示値からずれる場合がありますが(この場合でも最終的な露出は絞り込み後の再測光で適正露光になります。)Ai-Sでは正確に絞り込まれることから表示値とのずれはありません。
外観では最小絞りの数字が目視用、光学直読用ともオレンジ色になっている事がAi-Sの特徴です。
操作面ではレンズの距離環の回転角度とピント移動量の関係を従来品から見直し、ピント合わせの操作性を向上させています。(おおよその回転角度を揃えています)
Ai方式より速度優先AEとプログラムAE(マルチパターン含)に対応する為の改良がAi-Sと言って良いかと思います。
電気接点を持たない機械式の連動による継ぎ足し(追加)もほぼこれが限界にちかいものがあったのか後にAF化を機に電気接点式への転換をして現在に至ってますが、従来カメラへの互換性はどんどん薄れていってしまいました。
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